A Gloomy Part-Time Lord "X1" of a Rental Apartment Building

兼業大家とは『兼業農家』から派生した言葉です。
賃貸経営と別に業を行い、それを両立させる人たちを呼びます。
農村における農業と、都会における大家業は形態に類似性があり、どちらも、土地によって収益性が異なります。
農業は、土地の生産性で収益性が決まりますし。大家業も、土地の地域性や利便性で、収益力が支えられています。
どちらも、土地の在り方、利用方法によって収益力が異なります。
また、所有者の働き方が見えにくいという類似性があると言えます。

しかし、兼業大家は社会的に見えにくい存在です。
農家は農業政策の庇護のもとにあり、さらにその存在の社会的合意は十分に採られています。
一方で兼業大家というのは、そういった政策の庇護がほとんどありません。

農業は、車窓などから見える田園風景で働いている所を見たことがない、と思われがちです。
大家も家賃を持って行くだけの存在だと思われがちですが、リート及びファンドなどの大資本による物件の取得や、プロの賃貸経営などによる周辺ニーズの侵食の脅威の下にあります。
これらの空室損や自然災害のリスクや、納税のノウハウなどや入居者トラブルや様々なリスクの元で、大家は賃貸経営を行っています。

これから兼業大家をやる人たちは、それら脅威に十分注意しなければならないという事で、この作品に着手致しました。
小説を通じて、この思いが読者の皆様に届くように本小説の原案者は願っています。

僕は。その思いに彩られた物語に、血潮を巡らせんと筆を執りました。
それが、どんな成果を生むとも。それが、どんな結果になろうとも。
それでは、『或る兼業大家”X1”の憂鬱』の物語をお楽しみください。

尚、本小説に登場する人物や企業、物件は架空のモノであることにご留意ください。