ある料理人が、これは猫、魚、バジル、胡椒、小麦粉で作る料理だと説明した……ようだ。
あまりに早口に聞こえたので、説明のほとんどの意味を咀嚼できなかったが、名称に『猫』が含まれる料理であることは確からしい。
魚の揚げ物ならば楽しみだが、猫とは……。何だか食欲が沸かない。
今からでも料理人を止めるべきだろうか? いや、もし食材として用意されていたら、もう、食材達の息は無いだろう。今から自分に出来る事はない。
調理場の様子は見えない。あそこで、何が起こっているのか、想像したくもない。
結局、どうすることもなく、皿に盛りつけられた揚げ物が運ばれてきた。
確認の為に料理名を、もう一度聞いてみる。やはり、料理名の一部は、猫、という意味だ。
どうするべきか……、もう選択肢はない。
思い切って、失礼を承知で料理人に言う事にした。慎重に言葉を選んで、『自分は、猫の肉は食べない』、と。
あまりに慣れない行為だったため、たどたどしくなってしまったが、ちゃんと言えた。料理人に意思は伝わった筈だ。
すると、料理人は少し笑ってから言う。それは『心配しないで』という内容。シンプルに、はっきりと言った。
どうやら杞憂だったらしい。よかったよかった。いただきます。
ヒント真実1: 実は料理を食べた人物は文字単位での聞き間違いをしていない。
ヒント真実2: 料理人が最初に説明した情報の全ては、確かに料理に使用する食材の紹介である。
ヒント3: 推理の鍵は以下の記述である。
【猫、魚、バジル、胡椒、小麦粉】・【料理だと説明した……ようだ】
【あまりに早口に聞こえた】・【説明のほとんどの意味を咀嚼できなかった】
【名称に『猫』が含まれる】・【慎重に言葉を選んで】
【たどたどしくなってしまった】・【それは『心配しないで』という内容】
料理人が英語を話していたから。つまり、『catfish』。