謎解き演劇:『雨上がりの別荘ミステリー』

難易度『松』

=====幕開け=====

登場人物:①②③④⑤と探偵

(舞台は雨上がりの別荘屋敷。芝生は水滴で輝き、土は湿っている)

探偵:「なんと爽やかな日だ。さて、お昼ご飯の時間だな」

(食堂へと案内された探偵は、食卓に着きワインを眺めている)

①:「お食事の準備ができました。他の皆様をお呼びしてまいります」

探偵:「ああ、頼むよ」

(使用人の①が②③④⑤を呼びに行く)

探偵:(独り言)「おや? あれほどお腹を空かせていた②がいないとは。何かあったのではないか?」

探偵:(自慢げに)「さすが私の推理力! ②は迷子になったに違いない。庭を散策してみよう」

(探偵、庭へ向かう。①には屋敷内を探してもらう)

=====庭での出来事=====

(探偵、広い庭を歩き回る)

探偵:「②! どこにいる?」

(突然、別荘の方角から遠い悲鳴が聞こえる)

探偵:「なんだ!?」

(探偵、別荘の玄関に走って戻る)

(背後から泥だらけの②が飛び出してくる)

②:「うわああああ!」

探偵:「きゃあああ!」

②:「お腹が空いたんだよ! 早く食堂に行こうとしたら泥濘に嵌って転んじゃったんだ。ムカつくから襲っちゃった」

探偵:「まあ、驚かせないでくれ」

(②、シャワーに向かう)

=====食堂での衝撃=====

(探偵、食堂に入る)

(⑤の服とテーブルクロスが赤黒く濡れている。①が震えている)

探偵:「一体何があった?」

①:(震える声で)「③の部屋に向かったんです。でも施錠されていて、呼んでも返事がなくて……開錠したら……④様が……死んでいました!」

探偵:「窓の確認は?」

①:「急いで戻ってきたので……確認できていません……」

⑤:「①が突然食堂に飛び込んできたので、びっくりしてワインをこぼしちゃったの。着替えが欲しいわ」

=====事件現場=====

(探偵と①、③の部屋に向かう)

探偵:「確かに④が死んでいる。絞殺か刺殺のようだ」

(部屋を調べる)

探偵:「扉は一つ、窓も一つ。家具は机とペン立て、椅子、大きいクローゼットのみか。血液の跡が窓まで延びている。クローゼットにも続く血染めの足跡が……」

(探偵、窓を確認)

探偵:「窓は施錠されている。外からは施錠できない構造だ。となると①の証言が正しいなら……」

(探偵、クローゼットを開ける)

探偵:「なんと! ③も死んでいる! これも絞殺か刺殺か……」

(探偵、考え込む)

探偵:「全ての死体に絞殺痕がある。自殺ではないな。しかし、この密室で一体誰が……?」

(幕が下りる)

幕に真実の文字が煌々と照らされる。


真実:鍵を操作する手段は、室内からの内鍵操作か、使用人である①の持つ合鍵のみ。
真実:探偵の検死は確かである。探偵は犯人ではない。共犯者もいない。自殺者はいない。



問題:犯人は誰? 犯人の行動を当てろと強いはしないが、それでこそ『松』。

ヒント1: ①が犯人? ああ、きっとそれなら犯人の行動説明はとっても容易。
しかし、密室を構成したのが唯一の鍵を持った使用人というのは……。
それなら使用人は窓を開ける、扉が施錠されていなかったと発言する等の方法で容疑者を絞らせないはず。

もし、一人で二人殺害する方法を考えているなら、それは重要ではない。
着目するなら、密室破りだ。

ヒント2: (舞台の幕が下りた後、客席で)

探偵GUN:「ちょい、ちょーい! ASHちゃん、見たかい?
この捜査官兼、ガンマン兼、探偵のGUNちゃんが、一発で事件を解決してやるよ!」

ASH:「えー? ボク、まだ分からないの。GUNちゃん、本当に分かったの?」

探偵GUN:「おへへっ、当たり前じゃん! ミーの推理力は天下一品だからね!」
(ポップコーンを口に放り込む)

ASH:「ふーん……じゃあ、教えてよ。ボク、気になるの!」

探偵GUN:「よーし、じゃあよく聞いて! まず、②が怪しいんだ。泥だらけになってたろ?
それに、探偵を襲ったのも変だよね」

ASH:「うーん、でも②は泥濘に嵌ったって言ってたよ?」

探偵GUN:「そこなんだよ! 嘘をついてる可能性が高いんだ。
実は②が犯人で、③と④を殺した後、証拠隠滅のために泥だらけになったんじゃないかな?」

ASH:「えー! でも、どうやって密室を作ったの?」

探偵GUN:「そこがミーの推理のキモなんだ! ②は窓から出て、外から窓を閉めたんだよ。
そして、泥だらけになってから別の場所から家に入り直したんだ!」

ASH:「でも、窓は外から施錠できないって言ってたよ?」

探偵GUN:「あっ……」(ポップコーンを落とす)

ASH:「ぺろぺろぺろー! あはは! GUNちゃんの推理、ダメだよ、そんなの!」

探偵GUN:「ちょ、ちょっと待って! ミーの推理はまだ終わってないんだから!」(慌てて)

ASH:「もう、GUNちゃんったら。ボク、もっと考えてみるの」

探偵GUN:「くっ……ミーの弾丸は、まだ隠された真相と犯人を打ち抜けてないみたいだね……」(悔しそうに)

ASH:「うんうん、でもね、GUNちゃん。ボク、思ったの。クローゼットに③がいたのが変だよね?」

探偵GUN:「おっ! そうだね! さすがASHちゃん! じゃあ、ミーの推理をもう一度聞いてくれる?」

ASH:「うーん……ボク、ちょっと気分じゃないの。もう少し考えたいな」

探偵GUN:「えー! ミーの事無視すんなって!」

ASH:「ふふふ、GUNちゃん面白いの。じゃあ、もう少し一緒に考えよう?」

探偵GUN:「よーし! この事件、絶対に解決してやるぜ!」(元気を取り戻す)

(二人は頭を寄せ合いながら、真相に迫ろうと議論を続ける)

ヒント3: 第一発見者の①は、事件現場を再度施錠しただろうか? その時、クローゼットの中は?

真相

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