落ちない石の謎

難易度『竹』

「あっ、落ちちゃった」
 ①は草原の中央で、物体浮遊マジックに憧れて実現を試みていた。
 しかし、成功しない。
 夕焼けが、子供たちを柔らかく照らしていた。

-落ちない石-


 ①が練習する場所に、②が訪れる。
「物が浮くなんてありえねーよ」
 ①は②にそう言われ、浮力や磁力で反論する。
「でも、そういう力が何も加わらなきゃ、どうしようもねーだろ?」
「出来るの! 例えば、これ!!」
 ①は、ある石の絵をスケッチブックに簡単に書いてみた。
「丸っこい石にしか見えねえが? まさか、強力な磁石とか? 軽くて水に浮きまーすとかなら、怒るぞ?」
「違うよ。磁力で浮いてるわけでも、水に浮いてるわけでもないの!」
「でもさあ、プロペラも付いてねえし、ロケットも付いてない。羽が生えてる訳でもねえ。落ちちまうだろ、普通。そんな石」
「じゃあ、実際に見せてあげるね。ほら!!」

 しかし、その石を見せられた②は、急に意見を翻す。どこへ行ったのだろう、②が漂わせていた先程までの自信は。

「いや、やっぱりこの石ころには勝てねえわ。そりゃ浮くわ。いやー、俺が間違ってた。落ちる? そりゃバカの言う事だな。どうやっても落ちねえよ、この石は。浮いて、クルクル回って見せちまうぜ??!!」

 その石は確かに浮いていた。一瞬ではない。ずっと浮いている。水や、その他液体に浮いている訳でもないのに。
 一体、何故……。

問題:①はどうやって、石が浮いている所を見せた?

真実:この問題に対し、磁力は考慮しなくて良いものとする。

ヒント1: 仮に『スケッチブックに描かれた石』をブン投げてみたら。
②はこのように納得するだろうか?

ヒント2: 浮力や磁力などの外的なチカラが加わらなければ、物体はどうなるだろうか。

ヒント3: 重力さえ、外的なチカラである。さて、もうすぐ夜ですね。

真相

-ずっと、私達の頭上に君臨するもの-

日が、沈む。星々がうっすらと見えてきた。
①は、すっと天を指さす。そこには、薄いが確かな『お月様』。
② 「あの『石ころ』には、流石に勝てねえよ。地面に落ちてくる訳、ねえんだもんな」
二人は、頭上が完全な夜空となる前に、家に帰るのだった。

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